日韓の旅客便減少を「日韓関係の悪化」と断じるNHKの偏向

2019-10-28

「日韓関係の悪化」が主な原因ではないことは明白である。

 

●NHK 2019.10.25 6:48 配信
「韓国との旅客便減少へ 日韓関係悪化影響 成田空港冬ダイヤ」

 今月27日から始まる成田空港の冬ダイヤで、韓国との間の旅客便が、去年の同じ時期と比べて70便余り減少することが分かりました。これまではLCC=格安航空会社を中心に増便や新規就航が続いてきましたが、日韓関係の悪化が影を落とす結果となりました。

 成田空港会社がまとめた今月27日から来年3月28日までの航空会社の冬ダイヤによりますと、この期間に成田を発着する便は1週間当たり4914便と、去年の同じ時期と比べて3.6%増え、過去最多を更新しました。

 これは日中両政府の合意で、成田と中国・北京などを結ぶ便数の制限が緩和されたことに伴って、中国便が大きく増えたことなどが要因です。

 一方で、LCCを中心に増便や新規就航が続いていた韓国との間の旅客便は、記録のあるこの3年間では初めて減少に転じて72便少なくなり、就航都市も5つから4つに減るなど、日韓関係の悪化が影を落とす結果となりました。

 成田空港会社の田村明比古社長は「韓国は日本の隣国で大きなマーケットなので、韓国便の減少は深刻な問題で、早く以前の状況に戻ってほしい。路線の維持・拡充にできる範囲で取り組んで行きたい」と話しています。 (以上全文)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191025/k10012147151000.html

 

 はたして、日韓関係の悪化によって成田空港における韓国路線便が減ったのだろうか。
 事実はそうではない。

 先ごろ韓国で取り上げられたニュースを見ても原因は明白だ。

 

●韓国経済新聞 2019.9.18 8:58 配信
「韓経:韓国系LCCのイースター航空、非常経営突入…3カ月間の無給休職実施」

 格安航空会社(LCC)のイースター航空が非常経営体制に入った。

 17日の業界によると、イースター航空のチェ・ジョング社長は16日に社内掲示板を通じ「本日付で非常経営を宣言し、危機克服経営体制に転換する」と明らかにした。

<中略>

 イースター航空を含む韓国系航空会社8社は需要鈍化とウォン安ドル高の余波で4-6月期にいずれも赤字を記録した。航空業界では「日本など短距離路線に集中したLCCのうち不渡りを出す航空会社が出てくるかもしれない」との見通しまで出ている。

https://s.japanese.joins.com/JArticle/257714?sectcode=300&servcode=300

 

韓国の各新聞が分析する通り「ウォン安ドル高」「需要鈍化」が原因なのだ。

 

  韓国人による「日本不買」の真っ只中である7月下旬の記事を見ても分析は同様である。

 

●中央日報日本語版 2019.7.22 10:35 配信
韓経:「日本旅行の予約が半分に急減」…韓国LCCのため息

<前略>
 LCC成長の立役者的な役割を果たしてきた日本が「苦労の種」に転落したのはこの4-6月期からだ。日本の小都市を訪れていた旅行客数が為替レートの上昇(ウォン安)の影響を受けて縮小したためだ。証券業界では有価証券市場に上場されたチェジュ航空とジンエアー、ティーウェイ航空、エアプサンなどの4-6月期の実績が大きく悪化したと推定している。
<以降略>

https://japanese.joins.com/JArticle/255766?sectcode=300&servcode=300

 

 つまり「日韓関係の悪化」などではない。
 あえて原因を挙げるならば「韓国経済の悪化が影響」か、あるいは「景気悪化による韓国観光業界の鈍化が影響」とせねばなるまい。
 また、7月以降の日韓関係を鑑みて、どうしても日本を引き合いに出したいならば「韓国人によるボイコットジャパン(日本不買)の影響」とするのが妥当であろう。

 

 さて、冒頭ではNHKの記事を取り上げたが、産経新聞も同件について取り上げている。

 

●産経新聞 2019.10.24 22:41 配信
「成田空港の冬ダイヤ、韓国減り中国増 発着は過去最多に」

 成田国際空港会社(NAA)は24日、成田空港の冬季ダイヤ(10月27日~来年3月28日)を発表した。日韓関係悪化を受け韓国線が減ったが、中国線の新規就航や増便があり、1週当たりの発着回数は冬季として過去最多の4914回となった。

<中略>

 NAAの田村明比古社長は24日の定例記者会見で韓国線について「復便の動きもあるが、注視していく」と話した。

https://www.sankei.com/life/news/191024/lif1910240054-n1.html

  

 同じ記者会見を元に記事を書いても、ここまで印象の差があることにも注視したいが、ここで問題にしたいのは「日韓関係悪化を受け」とした文言である。

 

 現在の日韓関係を表現するのに「便利な言葉」であるのは理解するが、正しい情報を伝える新聞の役目を果たす上では抽象的に過ぎるきらいがある。

 日本と何ら関係のないところで起きている韓国航空会社の経営不振を日本のメディアが取り上げるのであれば、逆に、現在の日韓関係とは全く無関係であることを明白することにこそ、心を配るべきではないだろうか。